留学生ならではの就活体験談【その2】外国人におかしいと思われがちの日本の就活、実際素晴らしいかも!

 

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昨日久々に大学に行ったら、異世界に入ったような気がした。皆同じ黒いスーツを着て、同じ黒い皮靴を履いて、同じ黒いカバンを持って、なんという奇妙な光景だった…気持ち悪い!去年の自分もその中の一員だったことを考えて、改めて日本の就活システムって恐ろしいなと思った。集団行動を嫌う自分が、いつの間にか周りと協調するようになったが、周りを気にせずもっと自分を出せたらいいのになあって今になって悟ったことである。

さて、今日は中国企業と日本企業それぞれ求める人物像を比較しながら、なぜ日本はここまで新卒一括採用をこだわるかを企業側の視点で見てみよう!

 中国と日本において就活生のスケジュールの違いに興味がある方、前回の記事を参考してください。 

akira-john.hatenadiary.jp 

中国企業が求める人物像

 中国の民間企業では最も求めるものは、即戦力だ。企業側では基本的に社員を育てるという意識をもっていなく、採用した社員をすぐにでも会社の利益に貢献させたいという気持ちが強い。それには理由がある。ほとんどの中国人が仕事に最も求めるものは、給料や福利厚生であり、常により良い待遇の会社に転職しようと考えている。企業が大金をかけて社員を育てようとした結果、スキルをつけた社員はもっと待遇の良い競合他社に転職してしまい、結局ライバル企業に貢献するようなものだ。だから、即戦力になれる人材を雇って、成長したければどうぞ自分で勉強しなさいという姿勢をとっている。

では、即戦力のある人材とは何か?筆者は理系・工学系を専門とする人、ある分野で仕事経験のある人、コネを持つ人という3つに分ける。1つ目の理系や工学系の学生では、専門知識を持っているので、入社後すぐ仕事ができるというのは理解しやすいだろう。だから待遇の良い仕事を探すため、理系や工学系に興味がなくて専門としている学生が多くいる。2つ目の人材は、大学で身に着けた専門性が仕事と結び付けないが、ある分野での仕事経験があるので、その経験を仕事にすぐ生かせる人を指す。なので、大学生(特に文系の学生)が夏休みや冬休みを利用してインターンシップやボランティアに参加している。大学卒業後すぐに大手に入れないが、とりあえず中小企業で2,3年経験を積んで転職する場合が多い。3つ目は、最強とも言える「コネ人材」だ。「コネ人材」自身が持つ能力が即戦力にならないかもしれないが、その人の親または親戚が企業の経営層や政府の官僚で、「コネ人材」を自社に入れることで自然と外部の繋がりができ、会社の利益と直接に結びつく。不平等だと思うかもしれないが、実際に周りでは就活せずに良い会社に入った「コネ人材」がかなり多く存在している。

 

日本企業が求める人物像

一方、日本企業はどんな人物像求めるのかを見てみよう。企業の採用ホームページを見てみると、最も多く書かれているのは、「コミュニケーション能力」「チャレンジ精神」「チームワーク」「行動力」だ。就活の時、「どの企業も求める人物像一緒じゃん!」と思って、どうやって自分をPRすればいいのかすごく困惑していた。

ではなぜ日本企業は新入社員に即戦力を求めないのか?筆者の考えでは、日本企業が雇うのは卒業したばかりの学生ではなく、10年後一人前になった社会人ではないかと思う。日本は昔から「終身雇用」「年功序列」という独特なシステムが存在している。一旦入社したら定年までそこで働くという思想が深く根付いている。時代が変わってるから、そんな思想はとっくに捨てたと思うかもしれないが、実際中途入社の給料が新卒より半分以下低いという状況がまだ存在している。なので、企業側は終身雇用を前提に応募者を見ているので、目の前の利益(即戦力)より10年後の利益を見ているのではないかと思う。だから、応募者のスキル(専門性、仕事経験、資格など)よりポテンシャル(チャレンジ精神、コミュニケーション能力など)を重視している。将来活躍できそうな人材を雇って、最初に人材育成に赤字になっても、一人前の人材を育って後で回収すれば良いといった考えを持つ企業は多く存在するだろう。

日本の就活スケジュールは就活生にとって不自由で大変な面があるけど、実は就活生にとって最もやさしく最も可能性を伸ばしてくれる面もあることを気づいた。

と前回に書いたのは、そういった企業側が求める人材にあたる。

つまり、就活生は自分の専門、仕事経験やコネクションの有無に気にせず、すべての業界に応募することが可能になる。文系の学生がメーカーに就職することもあれば、理系の学生が銀行に就職することもある。それは中国にはない、日本の就活システムの素晴らしいところではないかと筆者は考えている。

 

つづく、かも